前回、僕は自分がセクシャルフルイディティに属する人間ではないかと書いた。
そして性に関する属性は僕には必要ないと。
男性との恋愛に興味があるとも・・・。
●一ノ瀬の姿
職場に好きな人がいるってのはなかなか辛い。そしてやっぱり嬉しい。
一ノ瀬が授業準備をしてる姿、
保護者対応をしてる姿、
生徒と接して姿、
僕はやっぱり邪な気持ちになったりもする。
●新しい出会い
忘れたい想いをかき消すように僕は、ゲイ・ビアン・トランスジェンダーの人たちに会える交流会に参加した。
具体的に言うと、ピンクドット沖縄に行った。イベントの中で、交流会がありそれがメインだった。
Pink Dot Okinawaは、「LGBTなど性的マイノリティが生きやすい社会を」と願う人たちが、その思いをあらわすためにピンク色のものを身につけて集まるイベントです。
ちなみに僕は沖縄に住んでるわけではない。はるばる沖縄に出かけたという話で。
確実に知ってる人はいないだろうからな!
というのも嘘ではないが・・・
実は一之瀬も一緒だった。
傍から見たら恋人のような僕たちはなんと旅行を兼ね出会いを求め旅立った。すごく軽いノリで。
●ぶっちゃける一ノ瀬
僕は正直、出会いより一ノ瀬と一緒に旅行(しかも沖縄!)に行けるのが嬉しかった。ただ言っておくが、僕らは部屋は別々にとってあった。(当たり前だが・・・)そして僕には漠然とした目的があった。男と寝てみる。
僕の気持ちは別として、
秘密を共有してる僕たちはどこか兄弟みたいだった。
一ノ瀬は僕を完全に友達視してるので、
自分の出会った人やその後の関係までぶっちゃけて話してくれた。
なんかモゾモゾする気持ちもあったがそれでわかったこともある。
一ノ瀬は見た目は女性的ではあるが、内面は非常に男らしいこと。松川に対する想いもいろんな出会いに上書きされてもう何もなかったことになっている。
彼女ならどの世界にいても需要と供給がなりたつ。
僕がウジウジしてる間に一ノ瀬は、
3人の女性と体を重ねていた・・・。
●トランスジェンダーの彼女に出会う
話が脱線してしまいそうなので、
さっさと書いてしまおう。
僕は、その交流会でトランスジェンダーの彼女と出会った。
トランスジェンダーって知ってるかな?
男性の体で生まれ心は女性
女性の体で生まれ心は男性
そんな人たちの呼称だ。
性同一性障害と言ったほうが通じるだろうか?
僕が一番長く話したのは、
体が男性、心が女性の彼女だった。
見た目は、やっぱり女性かな?ワンピースを着ていた。
「女装してる気持ち悪い男」
過去にそうやって石を投げられたり、
「きもちわりーーーー」
と聞こえるように言われたり・・・
自分自身の男性である体を呪いながら生きてる女性だった。
正直驚いたのは、
彼女の恋愛対象は女性だった。
つまりこうだ。
彼女に与えられた体は男性
彼女の性自認は女性
女性の彼女の恋愛対象は女性
トランスジェンダーでかつレズビアン。
いろんな人がいる中でなかなか出会えないような人に出会えた。
●彼女の痛み
彼女は今まで、
「自分を女と思うなら男を好きになれ」
「そうじゃないなら、やっぱりお前は男だ」
と言われてきたらしい。
僕も最初は驚いたけれど、
彼女のあり方のどこが変ななのか分からない。
どういう因果かそういう人もいるのだ。
当然そういう人がいても不思議ではない。
いろんなタイプの不思議に人間は出会ってきてるよね。
車も飛行機もロケットも、
電話もインターネットも、
臓器移植も安楽死も代理母出産も、
そして性転換手術も・・・
可能性がゼロではないところに生きてる。
性についてあまりに閉じられた環境の中で生きてきた僕たちは、いろんな存在の仕方がなぜだかあるんだ!という事実を知らない。今も昔も有り続けただろうに。
これは時間の問題。
いつか不思議が普通になる。
●数ある可能性からそうだっただけ
彼女にしても、
なりたくて男の体に生まれたわけでも、
なりたくて心が女になったわけでも、
女性が恋愛対象になったわけでもない。
その可能性がある中でたまたまそうだった。
それだけに過ぎないことだ。
それがこんなに壁になるとは。「女だと自認してる彼女に、女が恋愛対象だからってやっぱり男だろ」なんて辛すぎる。
女を好きになるのは男だけではない。
僕がこういってもお前もどうせ男だろ?と言われるだろうけど。
男と寝るのは女だけ?違うんだな。
つづく
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